『薪を焚く』淡々と綴られる薪づくり。そこから感じる文化、人々の営み。

2011年にノルウェーで刊行され、2019年ついに日本で翻訳本が出版された本書。

表紙から、もう面白い本であることが伝わってくる。一目見た瞬間から手に取らずにはいられなかった。

最初の一文「薪を焚くということが暖をとる以上のなにかだと悟った日を、私は今でもありありと思い出せる」この一文が全てを物語っている。薪を焚くということは生きることだと、この本を読んで感じた。

本書の構成

ノンフィクション大賞を受賞している本書だが、実用書としての側面も持っている。この実用書的側面がこの本の魅力をより引き出しているように感じる。実際、チェーンソーの種類や各メーカーの説明など読んでいてもよくわからない笑

わからないのだが、これが面白く引き込まれていく。

この不思議な感覚はあまり経験したことがなかった。

寒さ

ここでは、いかに北欧が寒く薪が重要なものかが語られる。薪は本当に生きる上で必須なのだ。

暖をとるための薪を意味するスウェーデン語とノルウェー語の単語は、古ノルド語で<森>を意味する語と同義。森と暖かさはひとつである。この言葉がとても印象的だった。

他にも、薪による暖かさやエネルギー関係の話が出てきて、現在の薪というエネルギーについての面白い事実が披露されている。

ここでは、森へ木を伐採しに行くときに注意すること。これが実用的に書かれている。実用的に書かれているのだが、そこには実際に作業をしている人々の営みが感じられる要素が散りばめられている。

そして様々な種類の木の説明。へーと思ったけど、使うことはないだろう知識だな笑

道具

ここではチェーンソーや斧などの、紹介や説明が目白押し。

日々、使っている人たちの道具に対する愛情をとても感じる。

道具に付いた傷のひとつひとつが、森への日々を思い起こさせ、愛着を抱くことになる。それは道具に思い出が刻まれていくということ。

薪割り台

原木が薪になる瞬間がここ。

薪割りは穏やかさを与えてくれ、魂の安らぎを得る。

原木は割ってしまえば、薪である。 日常生活であの時こうすれば良かった…など後悔することもあるかもしれない。その行動がのちに大きな結果を生んでしまうかもしれない。そんな不安とはかけ離れた薪割り。

薪になった原木はもう燃やすだけ。誰かにチェックされるわけでもなく、悪いことが起きることもない。

言葉でうまく表現できないが、妙に心が引き込まれる。

薪棚

薪を乾かす薪棚。ここでは、実際の薪の乾かしている様子が写真で紹介されていて、薪人の想いや情熱が伝わってくる。

薪を組むときに樹皮を上にするか下にするかは、長いあいだ議論されていることらしい。こういった細かい部分も、なんかいい。

どれだけ彼らが本気なのかがわかる。

乾燥

乾燥こそが薪の品質を決定づけるもの。

薪はどのように乾燥するのか、そもそも乾燥した薪とはなにか。そんな疑問を解説してくれている。

しっかりと乾燥した薪は、空気を通す。小口に洗剤をつけて、反対側から息を吹き込むとブクブクすると。全く信じられないが写真がちゃんとついている。これは驚き。

でも実際は凄さがわからない笑

ストーブ

いろんな種類のストーブの紹介。

読む前と読んだ後の薪ストーブの印象はだいぶ変わっていると思う。

こんなにも進化したものになっているとは、普段あまり薪ストーブに触れない僕にとって驚きの連続だった。

ついに薪を燃やすときがきた。

炎は人類の歴史とともにある。そんな歴史に思いを馳せながら、焚き付け・燃焼・煤掃除・そして火災についてまで語られる。

薪を焚くとは

ただ、薪を作り、燃やす。そしてそれらの工程で必要な道具を紹介するだけではない。

そこには、北欧の人々がどのように薪に向き合っているか。文化のひとつとして描かれている。

薪を通して、人々の営みを感じることができる本当に面白い、興味深い本だった。

僕たち日本人にとっての”薪を焚く”はなんだろうか。

そんなことも、考えさせてくれた。

でも一番思ったのはやっぱり、焚き火っていいなぁ。

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ビー玉
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