雨上がりの冷たい空気が心地良い
深夜2時30分友人宅から自宅への帰り道。
7km初めての道をただひたすら歩いている。スマホには1時間30分の行程とでているがその足取りは軽い。
深夜の散歩。この時間がたまらなく好きだ。
人通りはなく、自分ひとり。街全体が自分のためにあるような感覚。知らない道、街並みを人の目を気にせずに堪能できるこの瞬間がなんともいえない。
ときには吸い込まれそうなくらい漆黒の雑木林の横を通ることも。
どんな職業に就けば住めるのかと思うほど大きな邸宅が並ぶ並木道を。
住宅街を歩いていたら突然の畑&砂利道で本当に道が合っているのかとスマホを疑う。
地図では平面。しかし目の前には果てしない階段。さぁのぼろうか。
歩いていると街並みが目まぐるしく変化していく。ただそこに存在するわけじゃない。その土地の歴史があり、理由あってそこに存在している。街並みの変化には理由がある。だがそんなこと僕には知る由もない。
自分には計り知れない存在を前にただ面白いなぁという興味の目を向けて歩いてく。
深く考えるでもなく、知らない世界を見ることがただただ楽しい。
途中、飲みたいわけではないのだが、かっこをつけて自販機でコーヒーを買う。
アルコールで満たされた胃にコーヒーが染み渡るのがなんともいえない。ただコーヒーを飲むのもいいが、なぜだろう。深夜の帰り道に飲む缶コーヒーがやはり美味いのだ。
深夜の散歩は人とすれ違わない。出会わない。普段、人と積極的に関わる仕事をしているせいなのか。このひとりの時間が落ち着く。自宅にひとりいるときには味わえない充足感。
次はどこを曲がるのだろう。いまどこにいるのだろう。本当にこの道であってるのだろうか。
頭の中は散歩のことでいっぱい。悩みや考え事から解放される。まわりには誰もいない。人の目も気にせずに歩く。だから心地良いのかもしれない。
そんなことを思いながら自宅まで残り1km清々しい気持ちで歩いていたはずなのにこれまた不思議なことが。ゴールが近くなってくるとお腹が痛くなってくる。
早くトイレにいきたい。頭のなかはそれでいっぱい。あの心地良い夜の散歩はどこにいったのか。